にゃんことわんこ
そーちゃんの言葉に翔ちゃんが勢いよく顔を上げだ。
「俺の話を夢と!!」
鼻水でぐちゃぐちゃの顔で嬉しそうに笑う。
その顔で近づくもんだからそーちゃんは少しのけぞり、一瞬嫌そうな顔をした。
しかし耐性がつくのが早いらしく本当に一瞬の態度だった。
「さっき先輩が一緒にいた瑞穂さんが、実はキーパーソンです」
そーちゃんは人差し指を立てて横目で私を見て少し前屈みになってポーズを決めた。
瑞穂ちゃんがキーパーソン!?
「って、何の?」
「藤の話しッス!!」
ありゃりゃ。
そっか、そのためにここに入ったんだ。
ケーキにうっとりしすぎた。
藤くん、ごめんね。
一瞬でもケーキが上をいったこと許して。
「で、なになに?」
「藤は瑞穂さんに……」
「うん」
翔はじっと私の目を見ると、躊躇うように一回逸らした。
そして逸らしたまま唾を飲み込むと、もう一度真っ直ぐ目を見てきた。
そして、
「惚れてる………かも」
「えっ……」