にゃんことわんこ

彼女の声は返事とは裏腹に声が震えていた。



泣いてる?



そんな声だった。



相当お腹が痛いんだと勘違いした俺は

「救急車呼びますか?」

と聞いた。



「えっ!!」



予想外の質問だったのか焦った様子で俺を見上げた。



あっ……。



やっぱり彼女の目は涙でいっぱいで、顔も真っ赤だった。



だけど、真っ直ぐに俺を見上げた少女の瞳に胸が高鳴った。



「えっと……」



「救急車とかじゃなくて……体調は悪くないですよ」



「あ、そうなんですか……」



勘違いだったことと鼓動が速くなったことの両方が恥ずかしくなり目を逸らした。



やばっ、ただ泣いてるだけじゃ話しかけたら悪かったよな。



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