にゃんことわんこ
会話が止まる。
草汰と目が合うと、少年の口元がつり上がった。
「噂をすればなんとやら……じゃね?」
明らかに楽しそうな少年を目の前に俺の身体が停止する。
ドアを見たまま動けない。
足音がぴたっと止まる。
俺は唾を呑み込んだ。
ガラッ
「もう下校時間だぞ。早く帰れ」
ドアの向こうにいたのは俺の予想していた人物ではなく見回りの先生だった。
俺はホッと息をつき返事をする。
良かった。
あの先輩じゃなくて。
さすがにつき合ってもないのに今日も送ってもらおうなんてそこまで常識外れじゃなかったか。