にゃんことわんこ
「……先輩、帰りたいんで離して下さい」
「やだっ」
「……」
そう答えると、頭上から深いため息が聞こえた。
「……もう一緒に帰るの止めますよ」
ガーンッ
衝撃が走る。
そっちの方がやだ。
もう藤くんと帰れないなんて。
私はしぶしぶ彼から身体を離した。
「藤くんは、私のこと好きにならない?」
「さあ?
今好きではないのは確かですよ。むしろ苦手です」
しれっと答えて少年は歩き出す。
私は小走りで慌てて彼の背中を追った。
「私は藤くんのこと大好きだからねっ」
「そりゃどーも」