にゃんことわんこ

藤くんが少したじろぐのを見てみぬふりして私は陰でガッツポーズした。



かんばるぞーっ。



「ってか先輩。家つきましたよ」



「あ、本当だ」



藤くんと一緒だとあっという間に家に着いてしまう。



藤くんといると時間は早送りされちゃうんだなぁ。



「停止ボタン押したいよ」



「意味がわかりません」



「あ、こっちの話」



藤くんは呆れたように私を見ると私に背を向けて来た道を戻っていく。



暗闇にのまれて見えなくなる前に私は片手を伸ばし大きく手を振った。




「藤くーん。またねー」



藤くんは振り向かず小さく片手を上げた。



きっと恥ずかしくて照れてるんだろうな。



へへっ。



かわいいー。



そんな藤くんを放課後は独り占め。



私って幸せ者だなぁ。



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