にゃんことわんこ
午後の授業がいつもどうり流れる。
ボーっとしてる時間は長かったけど、
草汰と話したとき以外で昼の女のことを思い出すことはなかった。
それほど、些細なことだった。
この出来事は。
まあ、
思い出したくなかったのもあるけど。
それなのに……
授業が終わって身支度をしている俺の視界に異様なものが見える。
……何だあれ。
正面のドアから髪の毛の束がぴょんっとはみ出している。
「藤ー。部活行くぞー……って、なんだあれ」
草汰も気づいたようで目を丸くしてみている。