にゃんことわんこ

ドンドンと扉を叩くと中の足音が早くなっていくのがわかった。



「はい」



不機嫌な声がしたかと思うと顔を出したのは藤くんのお兄さん。



「って、あれ。亜姫の妹じゃん」



お兄さんは私の顔を見てびっくりしたように声を漏らした。



亜姫って言うのは私のお姉ちゃんのこと。



お姉ちゃんと藤くんのお兄さんは知り合いみたい。



部活が一緒って言ってた。



「藤ならまだ帰ってねーけど」



「あの……今日はその藤くんについて大事な話があるんです」



「ま、あがれば?話長そうだし」



そう言ってずらずら興奮気味に話そうとする私を制して中へと誘導する素振りを見せた。



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