恋愛クリニック部【修正中】
「…ここは……」
私が言いかけ、先輩たちの顔を見たときだった。
美鈴先輩、中井先輩、青木先輩、山田先輩、部長…みんなが目配せをして笑っていた。
私と宮城はハテナだ。
「……『絆の樹』ですね」
メガネを中指であげ、山田先輩が笑った。
「『絆の樹』?」
ますますハテナな私たちに、部長が笑って話し出した。
「…この学校のジンクスって知っていますか?」
ジンクス??
「…そういえば、美鈴先輩がネクタイをたくさんもらうのはジンクスのせいだとか聞いたことが…」
アレは、私が始めてクリニック部に足を踏み入れたときだった。
確かジンクスという言葉が出ていたはずだ。
「あの桜には、ジンクスがあるんですよ。それもかなり信頼できる」
「…どんなジンクスなんですか??」
「それは……おや??先客みたいですね」
桜に近付くと、もうそこには二人の男女が先にいて、何とも言えない複雑な表情をして桜の花びらを手にとって見ていた。
その2人の行動がなぜだか儚げで神秘的なもののように見えた。
それは…女性が車椅子に座っていたからかもしれない。