恋愛クリニック部【修正中】


「さて。掃除掃除…」


泣いてはいけない。
俺が泣いても、コレはどうにもならないことだ。


俺は再び掃除を始めた。


…大人になればなるほど仕事だなんだで忙しくて、子供の頃に交わした約束なんて綺麗にすっかり忘れていた。


大人になれば、守っていかなきゃいけないものが増えていってしまって、子供の頃の記憶が薄れていく。



コレが大人になるデメリットだ。



なんでも自分でできるようになって自由だからと、子供の頃は大人に憧れていた。


だけど、実際大人になってみると、想像していたものとは違い、忙しさに目を回すほどだ。

自由なんてない。



今では逆に子供の頃に戻りたいなんて思ってしまう。




一階へと戻り、窓を閉めようと窓に手をかけたとき、部屋の中に桜の花びらが1枚入り込んできたのが目に入った。



その1枚を手に取り、太陽に透かして見てみる。


薄い桃色の花びらが更に薄く光っているように見える。
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