恋愛クリニック部【修正中】

桜の花びら




――車を走らせ、母校に到着すると、俺は車椅子を取り出し、妻を車椅子に乗せた。


妻は辺りをキョロキョロと見回している。



やはり、この場所を見ても思い出さないか。


そりゃ、そうだよな。


そんな簡単に思い出すわけないよな。



「ここが俺らの母校だよ」



俺は妻の車椅子を押しながら笑いかけた。


「ここ…が??」

妻の目に驚きの念を感じる。



「とっておきの場所へ行こうか」



俺は何年も前に妻と過ごした高校生活の中で一番思い入れのある場所へと向かった。




「わぁ!!」


目の前に広がる大きな桜をみて妻が歓喜の声を上げる。


表情もいつもより明るい。


ここに来て正解だったな。
俺は妻のこんな笑顔を久しぶりに見た。


それだけでも俺には収穫だ。



「ねぇ!!これ1本だけしかないの?!すごい大きいね♪」


身振り手振りで木の大きさを主張する妻はとても若返った気がする。





「この木はな、『絆の樹』って呼ばれてるんだ」
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