キミノタメノアイノウタ
「親父さん、来たか?」
「奏芽…」
「よっ!」
片手を上げて颯爽と登場した奏芽はひたすら父さんの到着を待っていた私の隣に収まった。
「面談どうだったの?」
私より一足先に面談を終えた奏芽に、その感想を尋ねてみる。
「まあまあかな」
奏芽はニヤリと意味ありげに微笑むと。身体の緊張をほぐすように大きく背伸びをした。
「……とりあえず怒られてきた」
いつものように悪びれる様子もなく言うので、私はつい吹き出してしまった。
「浅倉からまた特別課題出されちゃうよ?」
「その時はその時だな」
やる気のない台詞に、出されてももうやらないんだろうということが予想できる。