キミノタメノアイノウタ
「平気だよ…。父さんに何言われても平気な顔してればいいし」
我慢は出来ると思う。どうせ言うことなんて予想できる。
“我が家の教育方針に沿った大学に行かせる”
“許可なしに勝手なことはさせない”
……いつもの口癖と一緒だ。
だから大丈夫。奏芽の心配には及ばない。
「要は慣れなんだよ、奏芽」
私は景気づけに奏芽の背中をバシンと叩いた。
何を言われたって私がここに残りたいって気持ちは変わらない。
父さんの方針とは無関係だ。
私は未だに心配そうな奏芽をよそに、ようやく現れた父さんを迎えに行くべく校門へと走り出した。