キミノタメノアイノウタ
窮屈で仕方なかった。
楽しくて始めたあの頃の気持ちがどこかに行ってしまったようだった。
母親はひたすら俺を説得した。
時には泣き崩れ、時には罵倒した。
……それでも俺の心は変わらなかった。
もしかしたら…とかそんな言葉は使いたくないけど、母親の言うとおりピアノを続けていたら俺はホントにピアニストになっていたんじゃないかと時々思うことがある。
でも、直ぐに思い直す。
お堅いクラシックの道が俺に合うはずないと。
この時の俺はピアノから…母親から解放され自由を謳歌するつもりだった。
でも、俺が音楽から離れられる訳なかったんだ。