キミノタメノアイノウタ
「古河!今日、お前暇か?皆でゲーセン行かねえ?」
教室から出ようとする俺をクラスメイトが大声で引き止める。
……今日こそ見つからずに帰ろうと思ってたのに。
「行かない」
俺はピシャリと教室の扉を閉めて校門に向かった。
閉めた扉から漏れ聞こえる付き合い悪いな、あいつ!!なんてセリフは、あえて知らない振りをした。
今日も退屈な一日がやっと終わる。
夕暮れが眼に眩しかった。
俺はボソリと呟いた。
「つまんねえな…」
普通の日常がこんなにも暇なものだとは思わなかった。
この時、ピアノから離れて1年以上もの月日が経っていた。