キミノタメノアイノウタ
「灯吾っ!!」
瑠菜は身体を起こして外を眺めている俺の顔を見ると、すぐにこちらに駆け寄ってきた。
その手には替えのタオルやら水やらが載せられたお盆を持っていた。
「良かった……目が覚めたんだね……」
瑠菜の肩が小刻みに震えていた。
本気で心配させたのだと、申し訳ない気持ちになる。
「悪い…。心配させたよな…」
瑠菜はコクコクと無言で首を上下に動かした。言葉に詰まって何も言えないようだった。
歌いながら倒れたんだ。
事情も知らない瑠菜にしてみればそれこそ身が縮むような思いをしたのだろう。
「ごめん…瑠菜…」
謝罪の言葉は一度言い出すと止まらなかった。
「ごめん…」
(……最後まで歌えなくて)
そうして謝っていると、瑠菜の後ろからあからさまに不機嫌な声が聞こえた。