キミノタメノアイノウタ

「おいおい。俺には謝罪の言葉はないのかよ?」

ぶすっと頬を膨らませながら姿を現したのはタツさんだった。

(なんでタツさんが?)

首を傾げていると瑠菜が説明してくれた。

「タツと兄貴が灯吾を家まで運んでくれたんだよ」

「薄情だよなー。俺は重たい思いして運んでやったのに目が覚めるなり瑠菜にはごめんって言ってさー。心配だから目が覚めるまで待ってたのにこの扱いだぜー」

子供のように口を尖らせる姿に、謝るより先に吹き出してしまった。

「すっすいません…。ありがとうございました」

笑いを噛み殺しながら言うとタツさんはニヤリと笑った。

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