キミノタメノアイノウタ
「まあ、いいってことよ!!」
そう言うとタツさんは俺の背中をバシンと叩いた。
予想していたよりも強い力で叩かれて、背中がヒリヒリと痛む。
この痛みはタツさんなりの気遣いなのだと思うことにする。
「じゃあ、俺は帰るか。明日も畑だからな」
「ごめんね、タツ。こんな時間まで」
タツさんはふっと顔を綻ばせて瑠菜の頭を撫でた。
「あんまり気にすんなよ?」
「うん、ありがと。玄関まで送ってくね」
「大丈夫」
その背中を追おうとする瑠菜を制したのは他ならぬタツさんだった。
「そこでお寝んねしていた灯吾くんに見送ってもらうから」
(俺…?)
突然のご指名に戸惑っているとタツさんが目でついて来いと合図を送ってきた。
不審に思いながらも俺はタツさんの背中についていったのだった。