キミノタメノアイノウタ
「灯吾はプロなの…?」
俺はゆっくりと頷いた。
「その辺は侑隆に聞けばいい。あいつと二人でやってきたから」
瑠菜はあんぐりと口を開けた。
「兄貴も!?」
予想通りの反応に思わず口元が綻ぶ。
「“azure”っていう名前なんだけど知らないか?」
瑠菜は大きく首を横に振った。かと思うと慌てて口をもごもごと動かし始めた。
「やっ!!でも私勉強で最近テレビとか見てないし!!それに元々音楽も詳しい方じゃないから知らないだけでっ!!」
必死になって弁解する姿にぷっと吹き出す。
「気にすんな!!俺達もまだまだ修行が足りないってことだし」
……それに。
瑠菜は知らなくても、求めてくれたから。
……今はそれでいいんだ。