キミノタメノアイノウタ
11
サクサクとサンダルが小気味よく土を蹴っていく。
朝とは打って変わって空高く昇った太陽が容赦なく私を照らす。
照らすなんてそんな甘いものじゃない。
……焼いているんだ。
もし私がお肉ならさぞかしおいしそうに焼けてるんだろうな、なんてぼうっとする頭で考える。
太陽を避けるように手を頭上に向かって開いてみるが、何の効果もない。
こんなことなら帽子を持ってくればよかったと、後悔してももう遅い。
私はこの暑いのにタツの家へと続く砂利道をひたすら歩いていた。
なぜならば、兄貴は部屋に戻る前にあくびを噛み殺しながら言ったのだ。
「azureのCDならタツが持ってるぜ?」
……まったくの盲点だった。