キミノタメノアイノウタ
分けてもらったスイカを食べ終わり、恵じぃと一緒にパイ娘のビデオを見ているとボーンボーンと時計が鳴った。
タツの家には今時珍しく大きな壁掛け時計があった。3時間ごとに時間をベルで知らせてくれるのだ。
私はどこか古ぼけた音の出る時計を見て叫んだ。
「うわ!!」
時計の針はちょうど正午を指している。
(急いで帰らなきゃ!!)
直ぐ帰るつもりだったので、昼食の準備を何もしていなかったのだ。
「ごめんね、恵じぃ!!私、帰る!!」
「昼なら食べていきなー」
「ううん!!兄貴達が飢え死にしちゃうから!!」
私はシンデレラのように慌てて帰る羽目になった。
恵じぃの誘いも断って玄関を出ると同時に、タツの車が砂利道を通って戻ってきた。