キミノタメノアイノウタ

(どうしてこんなところに写真が?)

高校の制服を着ている兄貴とタツの表情は今と比べると随分と幼かった。

ピースサインをして歯を出して笑っているふたりの背景に映っているのは、間違いなくこの部屋だった。

私は雑誌の紙面に目を遣った。

“azure大ヒットの理由”

先ほどまで気づかなかったけれど、見出しには大きな文字でazure特集と書いてあった。

発行されたのは去年の秋。

つまり"ハルのうた"が世に出てから約半年後ということになる。

ドキドキしながら雑誌をめくる。

ほどなくして18年間兄妹をやってきた兄貴と、今より髪の毛が短い灯吾が現れた。

(やっぱり間違いじゃないんだ)

私はようやくあのふたりが本物のアーティストだという事実を実感することが出来た。

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