キミノタメノアイノウタ
きっと今頃あのふたりはヨレヨレのTシャツ姿で家の中をウロウロしているに違いない。
兄貴の作った昼食を前に、途方に暮れながら。
それを思うと、更に笑いが込み上げてきて困った。
(信じられない…っ…!!)
こんな全国誌に特集組まれちゃうような人たちがこんな田舎にいるんだよ?
クーラーも効きが悪いから、汗をダラダラとかいて。
雑誌のこの澄ました表情とギャップがありすぎる。
私はひとしきり笑うとニヤニヤしながら記事を読み始めた。
(さて、どんなことが書いてあるやら……)
あとで兄貴と灯吾の前で思いっきりからかってやろうと心に決める。
雑誌には簡単に2人のプロフィールとインタビューが載っていた。