キミノタメノアイノウタ

ページをめくる度に私の知らない兄貴と灯吾の姿が明らかになっていく。

2人とも本当に楽しそうで、いやに眩しく目に映った。

タツも同じように思ったのかもしれない。同じように笑っている写真をこのページに挟んでいたのだから。

私は元通り写真を挟んで雑誌を閉じると元の位置に返した。

(灯吾の声が戻るにはどうしたらいいんだろう)

灯吾と兄貴はここにいてはいけない。

早く、帰らなきゃ。

この町はなんでも受け入れてくれる。

けれど、あの2人はここで足を止めてはいけない。

早く、帰らなきゃ。

この町はひどく窮屈だ。

あの2人には似合わない。

「おい!!瑠菜!!降りてこいよ!!」

タツの大きな声が階下から私を呼んだ。

片付けの途中だったCDを無理やり棚に押し込んで返事をする。

「はーい。今行くー」

……トントンと階段を駆け下りる音はさっきまで聞いていたCDのリズムに良く似ていた。

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