キミノタメノアイノウタ
「奏芽!!早く火つけてよ」
「うっせーな!!もうちょっと黙ってろ!!」
奏芽がライターで千吏の手持ち花火に火をつける。
すぐに火花が吹き出して暗闇に光の華が咲く。
「わあー!!ついたー!!」
千吏は花火を持ってグルグルと回った。ワンピースがふわりと揺れている。
「綺麗だな…」
隣に立つ灯吾がポツリと呟く。
どうやら千吏から解放されて体調が回復したようだ。
日が暮れるのを待って開催された花火大会は千吏の歓声から始まった。
「灯吾もやるか?花火。ほれ」
タツが花火の袋を渡す。千吏に頼まれて花火を調達してきたのはタツだった。
昼に出掛けていたのはそういうことだったらしい。