キミノタメノアイノウタ
(千吏ってばぬかりがないんだから……)
灯吾はガサゴソと袋を漁っていた。どうやらどれをやるか決めかねているらしい。
「さっきは千吏がごめんね」
灯吾は袋から紫と黄色の花火を取り出して私に渡した。
「確かにびっくりしたけど、面白い子だな」
灯吾は同じ模様の花火に火をつけた。
「良い友達だな」
私は灯吾の花火から火をもらって自分の花火をつけた。火花が緑からオレンジに変わっていく。
「……瑠菜が落ち込んでないか聞いてきたよ、あの子」
先についていた灯吾の花火が消えて行く。
バケツに放りこんで新しいものを取り出す。