キミノタメノアイノウタ
「そういうことは本人に聞きなさいよね」
千吏は花火を両手に持ってはしゃいでいた。こっちを見ると花火をグルグルと回した。
(ホントにもう…)
「いいじゃん。恵まれてるってことだろ」
灯吾は今度は銀色の花火を取り出した。
「瑠菜もこっち来いよー!!」
奏芽が花火を横に振って私を呼んだ。
「はーい」
私はとっくに終わっていた花火をバケツに投げ入れて千吏達の輪に加わった。
灯吾にあの街に戻りたいか聞こうかと思っていたのに。
楽しそうに花火をしている灯吾を見ていたら。
……なんとなく聞けなかった。