キミノタメノアイノウタ
「あっ、丁度よかった。今、起こそうと思ってたんだ」
台所に行く途中で洗濯物を抱えた瑠菜に出くわした。
外が雨なのできっと居間にでも干すのだろう。
家事を一手に引き受けている瑠菜は本当に偉いと思う。
昨日、瑠菜が出かけていたおかげで俺は侑隆がつくったカレーを食べた。
ここだけの話。
……とてもじゃないが食べられなかった。
瑠菜のありがたみが改めて分かる。
俺の口からこんな言葉が出たのは至極当然と言える。
「干すの……手伝おうか?」
瑠菜はクスリと笑いながら答えた。
「ひとりで大丈夫だよ。その代わり、兄貴を起こしてきて」
俺の顔が引き攣ったのを見て、瑠菜は益々笑った。