キミノタメノアイノウタ
「冗談だよ!!先に食べていようよ。どーせ兄貴は起こしても起きないんだし!!」
瑠菜はそう言うと、居間の鴨居に器用にハンガーを引っ掛けて服を干していった。
あっという間に洗濯物の暖簾の出来上がりだ。
俺がぼうっと突っ立っている間に鍋に火を入れ、ご飯を盛っていく。
「何してんの?顔ぐらい洗ってきなよ?」
「…そうする」
洗面所を指差され、言われるがままに歩き出す。
「ふあ…」
あれだけ寝たのに欠伸が出ることが不思議でたまらない。
台所で動いている瑠菜とは対照的でいかに堕落した生活を送っているのかわかる。