キミノタメノアイノウタ
帰るといっても真っ直ぐ家に帰るはずがない。
俺は雨の降る街中を少し足早で本屋に向かっていた。
軒先に着くと雨を払って、中に入る。
今日も適当な本を選んでレジに持っていく。
ふと外を見ると雨足が先ほどより強くなっていた。
「ありがとうございました」
店員が無機質に言う。
俺は包装紙に入れられた本を持って、いつものファミレスへと向かった。
ゴロゴロと雷が鳴っていて、道行く女子高生が小さく悲鳴を上げているのを横目で見る。
道の傍らに残っていた雪は雨ですっかり溶けてしまっていた。