キミノタメノアイノウタ
(あれ?こんな店員いたっけ?)
毎日のように来ているのだから、大概の店員の顔は知っているがこの人は見たことがなかった。
俺は思わずその店員の顔を凝視していた。
ファミレスの店員をするにしては雰囲気が殺伐としていた。
「他になにか?」
「いや、なんでもないです…」
店員は顔を観察されるのに慣れていたのか、さして気にした様子もなくバックヤードへと下がっていった。
いつもコーヒーを運んでくれる中年のおばちゃんはレジを打っている最中だった。
おばちゃんに比べたら格段に愛想が悪い。
それでも新人店員は仕事はキチンとこなしているようだった。
俺は目立つ新人店員から目を離すと、コーヒーをひとくち飲んだ。
どんなに味が薄くてもやっぱり落ち着く。
ようやく小説を読むコンディションが整った。
今日はSF物だ。