キミノタメノアイノウタ

あの時聞いた歌は…デタラメで楽譜もなかった。

歌い方だってきっと適当のはずだ。

でも。

俺がずっと夢見ていた音だった。

何度ピアノの前で思っただろう。

所詮、俺が作り出せたのは堅苦しい音符の羅列で。

……もっと自由にしてやりたかった。

音符を。

音色を。

もっと自由に。

……でも結局俺には出来なかった。

そして、逃げた。

逃げた先にあったのは無音の世界だった。

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