キミノタメノアイノウタ
……悔しかった。
(そうだ)
俺は悔しかったんだ。
俺の世界が真っ白なら、あいつの世界はカラフルな水玉模様で。
あの歌を聴いてから白の世界が俺に絶えず問いかけてくる。
“どうして逃げたんだ?”
目の前に突きつけられたような気がした。
俺はなんだかんだと理由をつけて。
ピアノから逃げたのだと。
あいつの歌はそういう俺の弱みを曝け出させてしまう力のようなものがあった。
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