キミノタメノアイノウタ
店内には俺と同様雨宿りに駆け込んだ客がちらほらいて、皆一様に空模様を気にしていた。
入り口近くの雑誌コーナーに立って、外を眺める。
(あーあ…。どうするかなあ…)
とりあえず、目の前にある雑誌を手に取る。
こうなったら雨が弱まるまでここで時間を潰すしかない。
雨雲が去っていくのにそう時間はかからないだろう。
居座ることを決め、パラパラとページをめくり始める。
(早く止まないかなー…)
まさかこんな所で足止めくらうとは思っていなかった。
窓ガラスに反射した自分の姿の向こうは、全く止む気配のない雨。
ぼうっと光る外灯が水滴の中に映っている。