キミノタメノアイノウタ

「大事にしろって言ったのはハルじゃないか」

”お前は音楽が捨てられない”

あの時ハルに指摘されて、泣くほど嬉しかった。

……本当に嬉しかったんだ。

他の誰でもない。

ハルのように音楽と共に生きている人間に言われたことで、許されたように思えたんだ。

戻ってこいと言われた気がした。

気のせいでもいい。

もう捨てるつもりも、逃げるつもりもない。

真正面から受け止める覚悟はできているから。

歌にしようと思ったのは単純にハルと歌いたかったからだ。

ピアノには触れられない。

……きっと、申し訳なさ過ぎて。

< 229 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop