キミノタメノアイノウタ
「大事にしろって言ったのはハルじゃないか」
”お前は音楽が捨てられない”
あの時ハルに指摘されて、泣くほど嬉しかった。
……本当に嬉しかったんだ。
他の誰でもない。
ハルのように音楽と共に生きている人間に言われたことで、許されたように思えたんだ。
戻ってこいと言われた気がした。
気のせいでもいい。
もう捨てるつもりも、逃げるつもりもない。
真正面から受け止める覚悟はできているから。
歌にしようと思ったのは単純にハルと歌いたかったからだ。
ピアノには触れられない。
……きっと、申し訳なさ過ぎて。