キミノタメノアイノウタ

頭を抱えているハルからふと視線を上げると侑隆と目が合った。

「お前も本気なら試しに歌ってみるか?」

挑発するように真っ白な楽譜を胸に押し付けられた。

(受けてたってやる)

「歌うよ」

どこでだって。

侑隆は満足そうに頷いた。

そう。

この時、俺は忘れていたんだ。

……侑隆が一筋縄じゃいかない男だってことを。

< 231 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop