キミノタメノアイノウタ
「千吏は花火大会行く?」
カリカリとシャーペンを動かしていた千吏の手が止まる。
恒例の勉強会は最近では静かなことが多い。
千吏がようやく本腰入れてやる気になったからだ。
どうやら三者面談の結果が芳しくなかったようだ。
「行くに決まってんじゃない!!っていうか行かないでどーすんのよ!!」
千吏は不機嫌そうに頭をかいた。
計算間違いを見つけたのか、勢い良く消しゴムで紙を擦る。
かと思えば私に向かって力説する。
「いい?夏休みは半分も終わってるのに、私達がしたことといえば夏期講習に三者面談に勉強よ!!」
ドンッと拳をテーブルに下ろすと、さっきの消しゴムが少し浮いた。