キミノタメノアイノウタ

「千吏は花火大会行く?」

カリカリとシャーペンを動かしていた千吏の手が止まる。

恒例の勉強会は最近では静かなことが多い。

千吏がようやく本腰入れてやる気になったからだ。

どうやら三者面談の結果が芳しくなかったようだ。

「行くに決まってんじゃない!!っていうか行かないでどーすんのよ!!」

千吏は不機嫌そうに頭をかいた。

計算間違いを見つけたのか、勢い良く消しゴムで紙を擦る。

かと思えば私に向かって力説する。

「いい?夏休みは半分も終わってるのに、私達がしたことといえば夏期講習に三者面談に勉強よ!!」

ドンッと拳をテーブルに下ろすと、さっきの消しゴムが少し浮いた。

< 238 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop