キミノタメノアイノウタ
「もう千吏!!勝手なことばっかり言わないの!!」
「良いじゃん!!」
千吏はイーっと私に向かって歯をむき出した。
揉めだした私達を見かねて、灯吾が仲裁に入る。
「良いよ。女の子だけじゃ危ないもんな」
私は口をあんぐりと開けた。
(危ない…?)
その辺の男どもより千吏の方がよっぽど危ないことをしそうだ。
その証拠に千吏の眼が怪しく光っている。
「先、行っててよ。直ぐ追いつくから」
千吏がひらひらと手を振る。その輝くばかりの笑顔に一抹の不安がよぎった。
「行くぞ、瑠菜。あいつ言い出したら聞かないからな」
「あ…うん…」
後ろ髪を引かれる思いで奏芽についていく。
灯吾と千吏の姿は人ごみに紛れてすぐに見えなくなった。