キミノタメノアイノウタ

「なんか毎年のように奏芽と行列に並んでる気がするな~」

「去年もその前も、千吏が綿あめ欲しいってごねたんだよな」

その時つき合わされていたのはタツだった。

今年は保護者役を灯吾にバトンタッチして、家で惰眠を貪っていることだろう。

うちの兄貴も今頃そんな感じだろう。

「すいません、たこ焼き2つください」

私達は400円をお互いの財布から出しておじさんに渡した。

プラスチックのケースに入ったたこ焼きが手渡される。

「俺、思うんだけどさ、結構割高だよな。屋台の飯って」

たこ焼きを頬張りながら、奏芽はしみじみと言った。

「そうだよね…」

10個入りで400円。

お小遣いが多いわけでもないので、割高感は否めない。

それでも、屋台で作っているものは普通のものよりおいしそうに見えてついつい買ってしまうのだ。

これぞ、花火大会マジック。

< 257 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop