キミノタメノアイノウタ
「ごめん…瑠菜…」
(な…んで…謝るの…?)
……一体、何に対して謝っているのだろうか。
奏芽の躊躇いがちな言い方がこれから起こることの重大さを示している。
「瑠菜に言わないといけないことがあるんだ」
奏芽の表情が曇っていく。
……私と同じように。
私達のことなどお構いなしに携帯電話が着信を知らせ続ける。
(お願い…ハルのうた…)
……どうかずっと流れていて。
奏芽の声を掻き消して欲しい。
聞きたくない。
……私は何も聞きたくなかった。