キミノタメノアイノウタ
「大学、受けることにしたんだ」
ドクンと心臓が一際大きな音をたてた。
奏芽の言い方にはもう迷いなどなかった。
つい、この間まで進路の話は逃げて回っていたというのに。
もう、決めてしまったんだ。
……私の意思など遠く及ばないところで。
「まだどこを受けるかは決めてない。でも環境とか設備を考えたらやっぱりここら辺の大学じゃ限界がある」
……奏芽ならきっと受かる。どこに行ったって上手くやっていける。
生まれた時から一緒にいたんだからそれくらい直ぐに分かった。
……別れを避けることはできない。
「ごめん…」
謝らないで欲しかった。謝罪の言葉なんていらない。
謝られたら私はどうしたらいいのだろう。