キミノタメノアイノウタ

「瑠菜っ!!待てよ!!」

奏芽が痛いくらい力強く腕を掴む。

この期に及んで引きとめようとする奏芽を私は拒絶した。

「離して…っ!!」

いくらジタバタと腕を動かしても、奏芽は決して離そうとしなかった。

(もう、やめてよ!!)

もう放っておいて欲しかった。

一刻も早くこの場から立ち去りたいのにそうできない。

いつから?

いつから奏芽は手が振り払えないほど力が強くなっていたの?

「瑠菜…」

……そんな傷ついたような目で私を見ないで。

「離してよ…っ…」

子供のように駄々をこねているのは私なのか、それとも腕を離そうとしない奏芽なのか。

……どうにもできない感情の行き場が最悪の方角に向いてしまう。

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