キミノタメノアイノウタ
……奏芽がいなくなる。
その現実を私はなかなか認めることが出来なかった。
騒がしい会場からひとり離れて、トボトボと当てもなく歩く。
後ろを向けば花火が夜空に大輪を咲かしていて。
あまりに綺麗で。
……切ない。
本当なら今頃、あそこで光の雨を浴びていたはずだった。
今の私は浴衣も着崩れして、髪の毛なんてよれてみっともなかった。
……なんて情けないんだろう。
「ふ…っ…」
取り乱して、ひどい言葉を吐いた。
……あんなこと言うつもりじゃなかった。
そんな自分が惨めで情けなくてたまらなく嫌だ。
涙が頬を濡らしていくのをとめられない。