キミノタメノアイノウタ
恵じぃの骨ばった手が私の手を握る。
なんて小さな手なんだろう。
恵じぃはこの手で鎌を持ち、鍬で畑を耕してきた。
……その手が今は震えている。
「わしはな…知っとった。本当は受かってたんじゃよ。タツの一番行きたがってた大学じゃった」
「本当に…?」
そう尋ねると恵じぃは微かに頷いた。
……とても信じられなかった。
それが本当ならタツは自分から外に出るチャンスを捨てたことになる。
恵じぃの背中が小刻みに震えている。
私はその背を労わるようにゆっくりと撫でた。
恵じぃの懺悔が続いていく。
「本当ならわしが背中を押すべきだった。でもそれをしなかったのは…わしの我儘なんじゃよ」
一際大きくパーンと花火の音がした。
……もう、終わりが近づいていた。