キミノタメノアイノウタ

「畑を手伝っとるタツを見ていると考えさせられた。本当にあれでよかったのかとな…」

恵じぃはどんな思いで今までタツと接していたんだろうか

進学を諦めたのは自分のせいだとずっと責めていたのだろうか。

誰が見てもタツは恵じぃのことが大好きなのに。

恵じぃはタツの優しさにずっと後ろめたさを感じていたのならば。

それは…悲しいことだった。

そんな私の気持ちが伝わったのか、恵じぃがありがとうと微笑む。

「でもな、瑠菜ちゃん。わしはタツが大事にしまっておいた参考書をそっくりそのまま奏芽にあげたのを見てようやく解放された気分になったよ」

奏芽がこの間持っていたのは参考書だったんだ。

タツの想いが詰まった参考書を奏芽は大事そうに抱えていた。

「タツが奏芽に意志を託したならばわしが邪魔するわけにはいかんよ」

……穏やかな表情だった。

いびつな関係を修復していけることへの喜びが詰まった表情だった。

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