キミノタメノアイノウタ
……恵じぃのそういうとこが好きだよ。
私はほのかに口の端をあげて笑った。
花火の打ち上げ音はいつの間にか聞こえなくなっていた。
代わりに耳に届いたのはポツリと溢した恵じぃの独り言だった。
「あの時、侑隆やタツにもそう言ってやれればよかったなあ…」
私はあえて聞こえなかった振りをして、恵じぃの湯のみにお茶を注いであげた。
……きっと正しい生き方なんてないんだ。
私の何倍も生きている恵じぃですら、自分のしたことを後悔していた。
私は後悔するのだろうか。
このままここにいることは私にとって正しいことなのだろうか。
それはまだ…わからない。