キミノタメノアイノウタ
「どうしてこのままじゃいられないのかな…」
……私達が過ごしてきた時間とは一体、何だったのだろう。
まだ十数年しか生きていない私達はこの町だけしか知らない。
思い出の数も、出逢った人の数もこの町の方が遥かに多いはずなのに。
それでも一度も行ったことのないよその町に負けてしまうんだ。
「みんな私のことをおいてけぼりにしてくんだ…」
兄貴も千吏も。
……奏芽でさえ。
みんな私を残して出て行ってしまう。
この町を出て行っても、少しは私のことを懐かしんでくれるだろうか。