キミノタメノアイノウタ

「ずっと一緒にいられたらいいのにって本気で願った」

私と同じ。

途方もない……願いだった。

心臓がドクドクと大きく鳴った。

……灯吾の願いは叶ったのだろうか。

その答えはおのずと分かった。



「どうして大切なものほど壊れていくんだろうな…」



……灯吾は今にも泣き出しそうな顔をしていた。

灯吾が何を失ったのかはわからない。

でも、それはきっと灯吾にとって大切なものだったに違いない。

「瑠菜は…昔の俺に似てるよ…」

……そう寂しげに笑う灯吾に言ってやりたかった。

似てなどいるもんか。

灯吾には歌がある。

私には。

……何もない。

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