キミノタメノアイノウタ
ねえ、恵じぃ?
……私は、誰かに責められるのが怖くてここを出て行かないわけじゃないの。
私は怖いんだ。
外の世界には私を守ってくれるものは何もない。
一人で生きていかなきゃいけない。
私には人に褒められるような才能も容姿もなければ、貫き通したい夢も信念もない。
ただ、この町が好きなだけ。
…勇気がないの。
…臆病なだけなの。
灯吾が羨ましかった。
…どうして灯吾は歌えるのだろうか。
大切なものを失っても、どうしてあんな歌が歌えるのだろう。