キミノタメノアイノウタ

「千吏、昨日は…」

……ごめんね。

そう言いかけた私の声を遮るように、千吏が静かに言葉を紡ぎだす。

「ねえ出かけない?」

麦わら帽子が千吏の顔に影をつくった。目を細めて涼しげに笑っている。

「今から?」

「いいじゃん、たまには!!」

千吏は右手に抱えていた大きなバスケットを見せた。

「朝ごはん作ってもらったんだ。散歩でも行こうよ」

行く気満々の千吏を前にして戸惑う。

……どうしよう。

洗濯物はまだすべて干し終わっていない。

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