キミノタメノアイノウタ
「あら良いじゃない!!」
「へ?」
開け放たれたガラス戸の向こうから、エプロン姿の母さんが現れた。
……どこから話を聞いていたのだか。
「後のことはお母さんに任せていってらっしゃいな」
なんだか母さんの方が楽しそうだった。
2人から期待の眼差しを受けて、私はとうとう観念した。
「ちょっと待ってて。靴、履き替えてくるから」
そう告げて玄関へと走る。
サンダルからスニーカーに履き替えて、つま先をトントンとたたきに押し付ける。
千吏が早くと手招きをしていた。
「いってきまーす」
私はこうして追い出されるようにして家を出たのだった。